長引く不況、デフレが進行する経済情勢の中で、家賃・地代の滞納は件数並びに滞納額ともに増加の一途をたどっています。オーナー様としては、賃料収入を予定して金融機関の返済を計算しておられる方が大半と思われますから、賃料の滞納は金融機関に対する返済困難をもたらし、最悪、破産の事態を招きかねません。滞納賃料の回収は極めて重要な問題です。
賃料の滞納も、基本的には(賃料)債権の未払ですから、債権回収の一分野となります。したがって、一般的な債権回収のポイント(「スピード」「優先順位を上げる」)が妥当し、交渉をはじめとして様々な対応手段が考えられる点は同じです。
一般的な債権回収について詳しくは、東京大塚法律事務所ホームページをご覧いただければと存じます。
一般の債権回収と異なる点
ここでお伝えしたいことは、一般の債権回収と異なる点です。
一般の債権回収は基本的に、未払いの1個の債権の回収を実現するものですが、賃料の滞納は、継続的な契約関係が続いている中での話で、時間の経過により次々と(滞納)債権が発生する点に大きな違いがあります。つまり、賃料滞納の場合、滞納されている目の前の債権に留まらず、将来の賃料の支払いをいかに確保するかも忘れてはならない重要な課題になります。
皆様もご経験があると思いますが、1度滞納をした借り手(テナント)は仮に今の滞納を解決しても半年後に、あるいは1年後に再び滞納問題を引き起こすリスクがありますので、こうしたリスクも含めて解決しなければ本当の意味の解決になりません。
まずは、滞納されているその賃料の回収に全力を尽くします。その結果、滞納が解消したとしても、今後2度と滞納を引き起こさないという確証がない場合には(例えば、借り手が失業し、再就職のあてがない場合など)、すぐにでも立ち退きを求めた方が良いケースもあります。
また、通常借り手の滞納は、時間の経過により益々増額します(延滞が重なります)ので、早いタイミングで立ち退きを求めた方が良いケースもあります。日本は法治国家ですから、賃料滞納(債務不履行)をした借り手であっても、借り手を合法的に立ち退かせるには時間を要しますので、早いタイミングで立ち退きの取りかからないと解決までに時間を浪費することになり、滞納額が著しく増加してしまうリスクがありです。
この点、東京大塚法律事務所では、これまでの経験から、1~2カ月程度の滞納状態でも立退き訴訟の提訴に踏み切り、未払から最短2ヵ月から4カ月程度で解決するケースもあるなど長引けば解決までに1年以上を要するケースもある中で、問題解決までの時間の短縮に務めています。
なお、近時家賃保証会社による強引な取り立て、あるいは立退きが問題となっています。借り手が賃料の滞納、つまり約束違反(債務不履行)を犯したことが発端で、非は借り手にあるように思われますが、日本は法治国家である以上債務不履行を犯した借り手に対しても適正なルールを基づいて対応しなければ、かえって債権者(オーナー様側)が違法行為の責任追及を受ける立場に陥ってしまいかねません。お気持ちは十分に理解しておりますが、理解しているからこそ、冷静に法律に従った適切な対応をお取りになることを是非ともお勧め致します。